渋谷Bunkamura ザ・ミュージアムでやっている写真展に行ってきた。古くは江戸時代に撮られた子供が写っている記念写真から、去年のロシア学校占拠事件で犠牲になった子供達の写真まで、百五十年に渡る子供達の姿がそこにはあった。二百五十点以上が壁にずっと飾られていて、みんなが食い入るように観ている。なんか、いつもの美術展、写真展とは雰囲気が違った。初めのうちは古き良き時代の子供達の姿を見て、「かわいい」だの、「うちの近所は、昔はこんなだった」などとおしゃべりしている人たちが多かったが、先に行くに従って黙っていく。そして、中には涙をこらえ切れずにハンカチを握りしめて写真を見つめている女性もいた。。。
その前もそうだったかもしれないが、子供達にとって二十世紀はまさに恐怖と苦難の世紀だったことが良くわかる。貧困から炭鉱や製糸工場などで働かされる子供。どこに逃げることもできず、戦争に巻き込まれて死んでゆく子供。おもちゃや鉛筆の代わりに銃を持たされて、戦闘へと借り出される子供。飢えや病気のために、骨と皮だけになり、目だけがぎょろぎょろとしてしまっている子供。そんな子供達は百年前も、そして今も世界に溢れている。
観続けるのがだんだんに辛くなっていくのだが、目をそらすこともできなくなる。しっかりと脳裏に焼き付けねばならない光景ばかりなのだ。有名な写真も一杯あった。日中戦争において欧米に反日感情を喚起させた「日本軍の爆撃にあった上海南駅で泣き叫ぶ赤ん坊(上海ベイビー)」や「焼場に立つ少年」(原爆で亡くなった妹を背負い、荼毘にふす順番をまっている少年。背筋を伸ばし口をかみ締めた姿は、悲しみを超えて、生あるものであった死者の尊厳をしっかりと守っている。その目に映っているものはなんだったのだろうか。。。)、ベトナム戦争でナパーム弾爆撃から逃げ惑う裸の女の子を写した「戦争の恐怖」。記憶に新しいものとしては、脱北者が中国の日本総領事館に逃げ込んだ「ハンミちゃん事件」など、その時代を象徴した写真となっている。いや、それらの写真は時代を超えて、見るものに人の愚かさを見せつける。
国民を飢えさせているのに核爆弾を作っている北朝鮮、民族紛争を際限なく繰り返すアフリカの国々、自分こそ正義と言い切るアメリカ、そしてのん気にblogを書いている私。。。みんな、子供達に顔向けができるのだろうか。
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