菊池寛実記念 智美術館でSNSユーザー向け「第十回菊池ビエンナーレ」展鑑賞イベントに参加してきました。
この企画展では写真撮影OKです。ただし、三脚・フラッシュNGなどの注意事項には従ってください。
展示内容
菊池寛実記念 智美術館は現代工芸専門の美術館。そして、二年に一度開催しているのが「菊池ビエンナーレ」展です。現代工芸作品の公募展で、十回目となる今回は359点の応募があり、そこから53点が入選、さらにその中から大賞1点、優秀賞 1点、奨励賞3点が選ばれました。この企画展では、入選作53点が展示されています。
前回、第九回の模様は下記の記事を参照してください。
入賞作品
大賞:若林 和恵《色絵銀彩陶筥「さやけし」》
銀が使われているのはその色合いからわかる。さらに、漆も部分的に塗られているそうで、その部分は銀を弾き、このような模様になっているのだそうです。
【優秀賞】宇佐美 朱理《土環》
機械の部品のような形ですが、上部の筒は空洞になっていて、でっかい茶碗のような感じ。よく見ると表面に凹凸があり、そこに色々な釉薬が使われ、このような風合いになっています。
【奨励賞】小枝 真人《染付深鉢 細魚》
白磁の大きな器に、流れるような感じでサヨリの群れが描かれています。染付の作品としては馴染みの色合いですが、サヨリたちの躍動感がすごい。見ての通り、内側にまで繋がっていて、本当に海の中を泳いでいるよう。
【奨励賞】腰越 祐貴《おもう》
毎回、「これが焼き物? 何でできているのかわからない?!」という作品が出品されますが、これもその一つでしょう。自然破壊で壊れ行く地球を表しているのでしょうか。
それにしてもこの蛙の質感、皮膚のぬめり具合まで感じさせるところは凄い。
もう一点、奨励賞作品(波多野 亜耶《帰依》)があったんですが、写真を撮り損ねてしまいました。ごめんなさい。
私が気に入った作品
金田萌永 《透光練込組鉢「bouquet」》
金太郎飴の要領で花柄模様を造り、それをこんな風に貼り付けて作られたそうです。「ブーケ」って題名がピッタリ。
釣光穂《Breeze》
手捻りは陶器製作の一般的な手法だと思いますが、ここまで細い紐状のものを積み上げていくと本当に麻で編んだ篭のよう。
小形こず恵《染付鉢「蓮に水玉」》
写真ではよくわからないんですが、この「水玉」が浮き上がって見えるんですよ。本当に水滴が付いているみたい。
清水剛《zabtone》
見ての通り、「座布団」です。銘々皿だそうですが、いや、どう見ても座布団です。
奥村巴菜《テングビワハゴロモ様とヤモリ》
作者は子どもの頃から虫に興味を持っていて、それが高じて自分で新たな昆虫を想像して作品にしてしまうようになったのだとか。でも、図鑑などを調べると、想像上の虫が実在のものにそっくりだったりして、逆に昆虫の多様性に驚かされたそうです。
それにしてもリアル。
布下翔碁《悠かなる》
外側はゴツゴツとしているのに、内側は漆黒のピカピカ。照明の光を反射して鈍く光っていました。
この漆黒部分、文字通りに漆だそうです。なるほど、「漆黒」とはこのことか。
中嶋草太《古へ語り‐久遠‐》
樹木の化石のよう。できて間もない作品のはずなのに、タイトル通りに太古の時を超えて存在していたかのよう。
やまわき てるり《いかりのぱわー ゆるしのぱわー》
ちょっと前に話題になったサカバンバスピス?! この頭に刺さっているピンから「ぱわー」が出るの?! 陶芸がどうのこうのという以前に、この主題に圧倒されました。
感想
今回も「これ、どうやって作ったの?」と思う作品が一杯でした。そして、そんな驚きもさることながら、主題そのものの面白さが感じられる作品も一杯。サヨリの群れが泳いでいたり、六枚セットの座布団が並んでいたり、虫や蛙が活き活きとしていたり、ぱわー溢れるサカバンバスピス(?)がいたり。
いやぁ、面白かったですね。
陶芸という、ある意味で形状作成に大きな制約がかかったやり方だからこそ、挑戦のしがいがあるのでしょう。そして、その結果としてのインパクトのある作品。なんてったって入選作品ですからね、訴えるものがありありです。
とにかく、実物を見て欲しいです。あの質感、色合いは写真では伝わらないので。そして、自分のお気に入りを見つけてください。
美術展情報
- 会期 : 2023/12/16(Sat) – 2024/3/17(Sun)
- 開館時間 : 11:00 – 18:00
- 休館日 : 月曜日 (ただし1/8、2/12は開館)、1/9(Tue), 2/13(Tue), 年末年始(12/28~1/1)
- 料金 : 一般1100円、大学生800円、小・中・高生500円
- 公式サイト : 最新の展覧会|展覧会|菊池寛実記念 智美術館
- 図録 : 定価 : 1,700円
コメント
今年も色々教えてください。どうぞよろしくお願いします。
こちらこそ、ご贔屓に。