あらすじ
シェアハウスに集まった六人。男三人、女三人。ここは恋愛リアリティ・ショーの舞台だ。六人はその参加者として選ばれ、集められた。しかし“リアリティー”とは名ばかりで、全てがヤラセ番組だった。
互いに自己紹介をする。作家(川谷絵音)、実業家(瀬戸利樹)、俳優(休日課長)、デザイナー(めがね)、バリスタ(海津雪乃)、ユーチューバー(山崎怜奈)の肩書。いきなりディレクター(ニシダ)が現れ、自己紹介シーンのTake2を撮ることになる。さらにはスポンサーに忖度してCMで使われているキャッチフレーズを会話に入れろとまで要求される始末だ。六人の行動は何もかもがカメラを意識したものばかり。
いや、嘘はこの番組だけではない。出演者の六人も肩書は“自称”に過ぎなかったり、恋愛目的などサラサラなくて単に自分を売り込みたい、有名になりたいと思うものばかり。そのせいで、俳優(実は俳優志望で、エキストラくらいしか経験がない)の男は無理やりスポンサーのキャッチフレーズを叫ぶ。自称デザイナー(デザイン会社に努めているものの、デザイン進行が仕事。彼女も俳優になりたいと願っている)の女はカメラの写りや番組の進行・構成を気にして“空気を読んだ”セリフを言い続ける。
そんな六人だったが、カメラのない場所では徐々に本音を晒し出すようになっていく。そして、ついには自分たちの想いを吐露しだすのだ。
恋愛リアリティ・ショーの撮影は進んでいく。そして迎える最終日。嘘の中に真実はあったのか。いや、実はさらなる虚構がそこで明らかになっていくのだ。
キャスト&スタッフ
- 出演
- 12日:川谷絵音/海津雪乃/休日課長/瀬戸利樹/ニシダ(ラランド)/めがね /山崎怜奈
- 13日:川谷絵音/海津雪乃/休日課長/瀬戸利樹/ニシダ(ラランド)/めがね/星名美怜(私立恵比寿中学)
感想
山崎怜奈さんが久しぶりに舞台に出演するというので、これは観に行かねばと即、チケットをゲットして観劇してきました。
どこまでが決まったセリフなのか、どこからが演者のアドリブなのか、いやはやその意味では“リアル”の側の演者のことを思い起こさずにはいられない話が次々に展開されていき、見ていてちょっとハラハラする気持ちにもなってしまいました。都知事選関連の番組出演依頼、色々とあった山崎怜奈さん。かのじょはユーチューバー役ということで、「誹謗中傷には慣れている」、「何を言われても気にしない」なんてセリフが。作家役の川谷絵音からは「グループに入っていた時はどうだった?」なんて聞かれるたり。終演後のカーテンコール(?)で明かされたことによるとセリフの殆どがアドリブだったらしい。
俳優役の休日課長は「映画キングダムに出演して、「畑を守る農民」の役だった」なんてことを言い、そのあとの会話がなんともぎこちなかった。“頭が空っぽ”の実業家役の瀬戸利樹は、山崎怜奈と二人きりになった時の会話で「自分は世界中を飛び回っている。ウユニ塩湖はきれいだった」と言うが、山崎怜奈から「ウユニ塩湖ってどの国にあるの?」「ボリビアでは何が美味しかった?」と質問攻めに会い、頓珍漢な回答ばかり。彼はボリビアでカオマンガイを食べて美味しいと思ったそうだ。
アドリブが多すぎて、一幕目の休憩前で三時間近く経っていたのじゃなかろうか。でも、そんなに時間が経ったことも気にならないくらい面白かった。恋愛リアリティ・ショーといういかにも胡散臭い舞台設定と、アドリブだらけの芝居。なにが本当で何がフィクションなのか混乱の極み。さらに、ラストにはどんでん返しとも言えるようなストーリーになっているし。その場限りの舞台だからこそ、何でもあり感がとにかく面白かった。
山崎怜奈さん目当てで観に行ったけど、かなり楽しめた。川谷絵音の才が光る舞台だった。
そうそう、久しぶりの山崎怜奈さんの芝居、かなり良かったですよ。“ドS”に攻めるアドリブは彼女ならではと言っていいでしょう。本人はどう思っているかわかりませんが、次回作出演も期待していまいます。
公演情報
- 期間・会場 : 2024/10/12(Sat) – 13(Sun) @ 日本橋三井ホール
- 公式サイト : dokutokunahito.com
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