映画「教皇選挙」:最後に特大の“問い”が投げかけられる展開がすごい

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教皇選挙 映画・演劇
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以下の内容は、いわゆる「ネタバレ」を含んでいます。

★ あらすじ

教皇が心臓発作で急死する。次の教皇を選ばなければならない。方法は、世界各地から枢機卿を一堂に集め、その中から自分たちで投票する選挙(コンクラーベ)で選出するのだ。そして、そのコンクラーベを取り仕切る役目を担うのは主席枢機卿のローレンスだ。

枢機卿たちは教皇庁に集められ、新たな教皇が決まるまで缶詰めとなり、外界との連絡を遮断される。枢機卿は100人以上いるが、新教皇の有力候補は何人かに絞られる。亡くなった前教皇の路線を引き継ごうとするリベラル派のベリーニ、カナダの保守派トランプレ、ベネチア教区の伝統主義超保守派のテデスコ、選出されれば初のアフリカ系教皇になるナイジェリアのアデイエミだ。
コンクラーベ直前、前教皇が秘密裏に任命したとされるカブール教区のベニテスが現れ、その真偽が問われるが、ローレンスは認め、ベニテスもコンクラーベに参加することとなった。

何度も投票が繰り返されるが、なかなか規定票数を集められる候補者がいない。そんな中、有力候補の一人に昔の“あやまち”があることが分かり、彼は自分へ投票することを辞退する。さらにもう一人、自分へ投票するよう買収をしていた候補者が。。。

ローレンスはこの混乱を収拾し、次期教皇をきちんと選出させることができるのか。投票は続く。

★ キャスト&スタッフ

  • 出演:Ralph Fiennes, Stanley Tucci, John Lithgow, Isabella Rossellini
  • 監督:Edward Berger
  • 脚本:Peter Straughan
  • 原作:Robert Harris
  • 音楽:Volker Bertelmann
  • 衣装:Lisy Christl

★ 感想

コンクラーベでは枢機卿たちが缶詰めにされて投票を繰り返す、ということは知っていた。そして、聖職者たちとは言え、選挙となればドロドロしたものがあるのだろうと想像していた。が、こんな感じで、そしてここまでグチャグチャなほどになっているとは。

「カトリック教会が権力と金にまみれている」と批判してプロテスタントが生まれたのは、マルティン・ルターが1527年から始めた活動が発端だと歴史で習った。その後、カトリック側もすったもんだあって内部改革をすすめ、最近では1992年に教皇ヨハネ・パウロ2世がガリレオに対する宗教裁判が誤りであったことを認め、公式に謝罪したなんて話もある。また教皇フランシスコは、LGBTQの人々に対する理解を示している。
今回の映画でも、枢機卿として集まった人々は様々な“人種”がいて、アフリカ系の人が有力候補になっていたりする。実際のカトリック教会でも状況は似たようなものなのだろう。

だが、残念ながら聖職者である彼らが選挙となると党派を組み、不正を行い、また敵対する相手を追い落とそうと策略を巡らせる醜い争いを行っている。映画のテーマとしてはそんな人間の性を描くというかなりシンプルなものなのだし、聖職者も人であるから当たり前なのだが、そんな彼らが争うからこそ人の持つエゴや野心がより際立って表現され、さらに観る我々にも強く伝わってくる。さらには候補者たちの秘密が次々と暴かれていくというサスペンス要素もあり、引き込まれてしまった。アカデミー賞やゴールデングローブ賞でも脚本賞を獲ったと言うのも納得だ。良くできている話だ。

それにしても新教皇に選ばれた者の告白は最大のビックリ要素。途中からこの人が選ばれるんだろうな、と先が読めてしまうのだが、こんなどんでん返し(いや、ひっくり返ってはいないか)があるとは予想できなかった。最後まで気を抜けない話の展開だった。いやぁ、面白かった。

★ 公開情報

★ 原作本、他

原作

参考書

コメント

  1. JUNKO より:

    これだけ解説していただくと見ないわけにいきませんね。面白ろそうです。最後のどんでん返しに期待。