「刀剣 もののふの心」展 行列のできる大人気

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刀剣 もののふの心 美術展・写真展
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東京ミッドタウンにあるサントリー美術館で「開館60周年記念展 刀剣 もののふの心」展を観てきました。

展示内容

公式サイトの説明によると

この展覧会では、京都や近畿を中心に、由緒正しい神社や崇敬を集めてきた寺院に奉納され、伝来した貴重な刀剣を一堂に集め展示します。それぞれの刀剣には、所持した武将とその英雄譚、鍛え上げた刀工、守り伝えた人々などについて、様々な伝承が大切に受け継がれてきました。

サントリー美術館が所蔵する狩野元信筆「酒伝童子絵巻」においては、武勇で名高い源頼光が率いる渡辺綱などの四天王が活躍します。今回の展示では、これらの刀剣にまつわる伝説についても、絵画や史料も加えてその意義を深く掘り下げます。さらに、臨場感あふれる主要な合戦絵巻や屛風によって戦に赴く武家のいでたちをご覧いただくとともに、調馬や武術の鍛錬など、日々の暮らしぶりなどにも着目し、武家風俗を描く絵画や史料を展示します

サントリー美術館 開館60周年記念展 刀剣 もののふの心 サントリー美術館

とのこと。

展示構成は以下の通り。

  • 第一章 : 絵画に見るもののふの姿
    • 第一節 合戦絵巻と絵画化された軍記物
    • 第二節 物語絵と武者絵 躍動するもののふのイメージ
  • 第二章 : 甲冑武具と刀装具 武家の装いと刀剣文化
    • 第一節 甲冑武具の移り変わり
    • 第二節 武家風俗画の世界 絵画に見るもののふの暮らし
  • 第三章 : 祈りを託された刀剣 古社寺伝来の名刀を中心に
    • 第一節 邪気をはらう力 守り伝えられた刀剣
    • 第二節 武士と刀剣 武将が愛した名刀
    • 第三節 祭礼と刀剣 祇園祭礼を中心に

平安時代後期に起きた前九年合戦・後三年合戦の頃から、武士の存在が大きくなっていき、源平合戦を通して武家政権が確立していった。それら合戦の模様は後世になっても語り継がれて軍記物としてまとめられ、絵巻物や屏風絵のテーマとなっている。その中では甲冑に身を包み、薙刀や刀、弓を持つ武士たちが描かれている。ただし、これらは後世に描かれたもので、実際に当時の武士たちの武具がこのままだった訳ではないだろう。

そんな武具は技術の進歩、そしてそれに伴った戦闘方式の変遷に伴って改良を重ねていく。源平合戦の頃の「大鎧」から順に軽量化・機動性向上が図られ、近世の「当世具足」へと変化していった。

刀剣は武器であるとともに、鬼や物の怪を追い払う霊力を持ったものとして信仰のための道具でもある。そのため、神社や寺院に奉納されることも多く、刀工の銘とともに、奉納者の天皇・公家・僧侶・武将の名前も後世に伝わっている。
本企画展では織田信長が桶狭間の合戦で今川義元から奪取した「義元左文字」や、豊臣家ゆかりの「骨喰藤四郎」などが展示されている。
また、祇園祭礼の長刀鉾で使われていた巨大な薙刀「大法師法橋来三品栄泉)菊紋/(和泉守藤原来金道)裏菊紋 (銘)」も展示されていて、その大きさを実感できる。

そんな武士や祭礼の需要を支えていた職人たちの姿も描かれるようになる。弓を張ったり、刀を研いだり、鎧を制作したりと、各種専門集団が形成され、それぞれの技を見せている姿も屏風絵などになっている。

感想

アニメの人気も依然、衰えていないようで、刀剣の美術展があちこちの美術館で企画・開催されている。いや、すごいものです。今回のこの企画展も、入場に際して検温・消毒が必要だったり、エレベーターに乗って展示階に移動しなければならないこともあったりしたが、それでもすごい行列でした。
会場内でも皆さん、熱心に刃紋やら、彫られた銘やらに見入っていましたよ。あと、声優さんがナレーションをしているためか、音声ガイドの貸出も普段の美術展以上だったんじゃないかな。

制作時から今に伝わるまでに、何度も研ぎ直されたり、火災にあって焼き直しされたりした刀剣たち。もともとの姿ではないのかもしれないけど、それでも鎌倉時代、室町時代のものが現存しているのだから、かなり大事にされてきたものなのだとわかります。
とは言え、「実用品」というか「消耗品」というか、神儀に使われるもの以外では刀剣は戦争の道具。戦闘の場ではそれほど丁寧には扱えないはず。刃こぼれもひどかっただろうし、血肉がこびりついたりもしただろう。今に残してくれた先人たちに感謝。

さて、私のような素人からすると、太刀や刀の見どころは「刃紋」や「三所物(みところもの)」辺りでしょうか。
刃紋は刀身の “焼き目” というか、その名の通りに波紋の様な模様のこと。波を打っていたり、規則正しい文様だったり、すっと一直線に近かったりと色々。見る角度によってもキラキラと輝いたり、落ち着いて見えたりと、色々な表情を見せてくれます。

三所物は目貫(めぬき)、小柄(こづか)、笄(こうがい)の三点セット。それぞれ、刀身と柄を留めるピン、鞘につけられた小刀(今で言う、ペーパーナイフのようなもの?)、髪結い道具です。室町時代から、これら太刀・刀の付属品に意匠を凝らすようになり、統一テーマのデザインが施されるものが増えたそうです。宇治川合戦をテーマにしたものや、項羽と劉邦の戦いを表したものなどが展示されていましたが、どれも小さくて単眼鏡じゃないとよくわからないほど。こんなところに贅をこらすなんて、粋ですね。

あと、軍記物絵巻はどれも華やかで見ていて楽しいものでした。「新・平家物語 | Bunjin’s Book Review」を読んだことがあったので、特に源平合戦関係の絵巻物は「ああ、この場面ね」と分かるのがうれしい。源三位頼政の鵺退治の場面や、宇治川の橋合戦の場面などニヤニヤしながら眺めてしまいました。

会期途中に展示替えもあるようですし、もうちょっと落ち着いて空いてきた頃を狙ってもう一回、観に行こうかなと思っています。今回、単眼鏡を忘れてしまったので、合戦絵巻や三所物の細かい部分まで見えなかったので。

美術展情報

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